みなさんこんにちは。『タンナー発レザーアイテムブランドだから語れる』シリーズ、~タンニン鞣しとは(後編)~です。
前回のコラムではタンニン鞣しの仕組みについて深堀してお話しさせていただきました。まだ読まれていない方はこちらからご覧ください。
今回はTAANNERR第一弾プロダクト〈美しく堅牢な最高級ピットヌメ革〉に使用されている革の鞣し方「ピット鞣し」の製法を実際の作業風景を交えて紹介していきたいと思います。
タンニン鞣しの種類
まず、タンニン鞣しの種類についてですが、タンニン鞣しは一般的に2種類の方法があります。それが下の写真のピット鞣しとドラム鞣しになります。
※このふたつは鞣しの際に使う設備が違い、出来上がった革にもそれぞれ特徴があります。そのため同じヌメ革でも使用用途(アイテムに求められる革の質感)によって選択されるためどちらか一方が優れているというわけではありません。
ピット鞣し
・ピット槽に皮を漬けて行う
・鞣しにかかる期間は約1ヵ月
・アクションをあまり加えないので繊維が解れず堅牢な革ができる
・約1ヵ月ピット槽に漬けることでタンニンの含有量がとても多い
・コバ(裁断面)の磨きがとても綺麗にできる
・日本には数社しか残っていない希少な製法
・古来よりの製法で、本ヌメ革とも呼ばれる
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ドラム鞣し
・ドラム(タイコとも呼ばれる)を使って行う
・皮にアクションをかけタンニンを浸透させていくので鞣しにかかる期間は約1日
・アクションをかけることで繊維が解れ、柔らかい革になる
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タンナー・山陽のピット鞣し
ここからは実際の作業風景を交えて、ピット鞣しの製法をご紹介していきます。
1.前鞣し
鞣しの準備を終えた皮をタイコに入れ、前鞣しを行います。前鞣しを行うことでタンニン濃度の濃い液に漬けて革の表面が縮んでしまうのを防ぎます。
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2.半裁
ピット槽のサイズや作業場の都合により、皮を半裁にしていきます。
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3.漬け
皮の両端に紐をつけ、タンニン液で満たされたピット槽に漬けていきます。
ここから約1ヵ月の間じっくりとタンニンを染み込ませます。
4.加脂
ピット槽から革を取り出し、柔軟性を付与するために脂を入れていきます。
5.セッター(水絞り)
革に含まれる余分な水分を絞りつつ、革のしわを伸ばしていきます。
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6.乾燥
自然乾燥で革の水分を飛ばします。
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7.ロールプレス
加温されたロールに革を通し、熱と圧力をかけ銀面を平滑にしていきます。
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8.完成
出来上がり。
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いかがでしたでしょうか。
TAANNERR第1弾プロダクト〈美しく堅牢な最高級ピットヌメ革〉には、名前の通りピット鞣しでつくられたヌメ革を使っています。
堅牢なピットヌメ革だから、ピットヌメ革 トートバッグやピットヌメ革 ビジネスバッグ は研ぎ澄まされたシンプルなデザインでも圧倒的な存在感を放っています。
タンニンを多く含み繊維が密になっているから、コバ(裁断面)を綺麗に輝かせ重厚感を感じさせてくれます。
ピット鞣しは手間も時間もかかる革なので、効率化のため多くのタンナーがドラム鞣し(タンニン鞣しやクロム鞣しを問わず)に切り替えました。現在、ピット鞣しを行うタンナーは世界で10数社しか存在しません。タンナー・山陽は100年を超える歴史の中でピット鞣しにたどり着き、現在もその製法を続けています。
タンナーから生まれ、革のことを知り尽くしたTAANNERRならではのヌメ革のアイテムを皆さんに楽しんでいただければと思います。
ピットヌメ革 トートバッグ
ピットヌメ革 長財布 (Deep Blue)
それではまた次回の投稿で。
※タンナー山陽は食肉の副産物の原皮だけを材料に、LWG(Leather Working Group)認証を基に生産した、持続可能な天然皮革を使用しています。
LWG(Leather Woking Group)について
Thinking Leather Action~実は、革ってサステナブル。~
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