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タンナー発レザーアイテムブランドだから語れる  ~鞣しとは~

みなさんは「鞣し(なめし)」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
前回の記事では皮から革になるまでの一連の流れを見ていただきました。
そこでは「鞣し」を、生皮(なまかわ)を化学的、物理的操作により、種々の実用性能を持った「革」に不可逆的に変換すること。
とご説明しました。(まだ読まれていない方は~皮から革ができるまで~をご覧ください。)
今回のブログでは「鞣し」とはいったいどういった原理なのか、について詳しくお話しできればと思います。

1.皮の構造について
動物の皮は外部からの刺激や危害から体を守るため、繊維で織ったようになっており、
驚くほど精巧で合理的かつ美しい構造をしています。
下図を見てもらえるとわかる通り、皮は表皮と真皮の2層から成っています。
さらに皮の肉面側には脂肪を多く含む皮下組織と筋肉が付着しています。
「真皮」の部分だけを革として利用するので、表皮、毛、皮下組織は革を作っていく中で除去されます。
 
2.鞣しとは 
動物の皮は熱に弱く腐敗しやすく、水分が抜けると非常に硬くなってしまいます。
これらの欠点を改善するため、「鞣剤(なめしざい)」と呼ばれる物質を、皮の主成分であるコラーゲンと反応。 
そうすることで、耐熱性、耐水性、薬品や微生物に対する抵抗性、柔軟性を持った革らしさなどを付与します。 
つまり、放置しておくと腐敗したり、硬くなったりする「皮」に、腐敗の進行を止めて恒久的な強さや柔らかさ等を与えることを「鞣し」といいます。 

3.鞣しの種類
「タンニン鞣し」や「クロム鞣し」など、世界には様々な「鞣し」の方法があります。それは「鞣剤」の違いによりいくつかに分かれます。
世界的に有名な鞣し法で、タンナー山陽でも行っている「タンニン鞣し」「クロム鞣し」をご紹介していきます。

 
①タンニン鞣し
植物の樹皮などから抽出したタンニン(渋)を使って鞣す方法で、古代エジプト時代より行われている最も古い方法と言われています。
樹木や葉などで組み立てられた家の傍にあった動物の皮が腐らず残ったことから、その鞣し効果が発見されたとも記述が残っているそうです。

このタンニン鞣しは、植物の樹皮から抽出した植物タンニン溶液で満たした深さ約3メートルのピット槽と呼ばれるプールに
約1ヵ月もの間皮を浸け、じっくりと鞣していく方法です。タンニン鞣しによって出来上がった革を「ヌメ革」といいます。
「ヌメ革」はタンニンがしっかり浸透することで繊維が密になり、適度な硬さを持っています。
また、革製品の魅力のひとつである経年変化(エイジング)が楽しめるのもこちらのヌメ革を使ったものになります。

TAANNERR第1弾プロダクト<美しく堅牢なピットヌメ革>は、こちらのタンニン鞣しの方法でつくられたヌメ革を使用しています。
■ 第1弾プロダクトアイテム<美しく堅牢なピットヌメ革>



②クロム鞣し
クロム化合物を鞣剤に使用する方法で、1858年にドイツのフリードリッヒ・ナップ教授がアルミニウム、鉄、クロムの塩に皮を浸すことを提唱したのが起源です。そして1884年に実用化が始まり1993年に今日の鞣し法の基礎が出来上がった、比較的新しい技術です。
それまで主流だったタンニン鞣しは、じっくりと鞣していくため生産できる枚数が限られ、質感も硬質です。
そこで、もっと早く、多く作ることができて、もっと水に強く、伸縮性がある革ができないかというニーズに応えてクロム鞣しはどんどん普及していきました。

現在、世界でつくられている革の80~90%は、このクロム鞣しでつくられています。
このクロム鞣しは、タイコと呼ばれる内部に角のついた大きなタルの中に皮とクロム鞣剤を入れ、一晩で鞣し終わる生産性の高い方法になります。
出来上がった革は物性が強く柔らかく、靴やカバンなど様々な用途に使われています。タンニン鞣し革と比較すると経年変化(エイジング)しにくく、使い始めの美しさを保ってくれる特徴を持っています。

TAANNERR第2弾プロダクト<美しさを守れる安心の防水革>は、こちらのクロム鞣しの方法でつくられた革を使用しています。
■第2弾プロダクトアイテム<美しさを守れる安心の防水革>



いかがでしたでしょうか。今回は少し専門的な話に触れながらの説明でしたので、
より革についての知識を深めていただけたのではないかと思っています。
次回以降でそれぞれの鞣しについてさらに深堀りしてご紹介できればと思います。

それではまた次回の投稿で。


※タンナー山陽は食肉の副産物の原皮だけを材料に、LWG(Leather Working Group)認証を基に生産した、持続可能な天然皮革を使用しています。 
LWG(Leather Woking Group)について 
Thinking Leather Action~実は、革ってサステナブル。~

関連記事:~皮から革ができるまで~

参考文献:日本皮革技術協会 『新版 皮革科学』
     JLIA 一般社団法人 日本皮革産業連合 『皮革用語辞典