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タンナー発レザーアイテムブランドだから語れる ~クロム鞣しとは(後編)~

暑さの厳しい折、皆様いかがお過ごしでしょうか。
以前のコラムでお話しさせていただいた「~クロム鞣しとは(前編)~」ではクロム鞣しの起源や出来上がった革の特徴についてお話しさせていただきました。今回は第2弾プロダクト〈美しさを守れる安心の防水革〉に使用されている革の鞣し方「クロム鞣し」の製法を実際の作業風景を交えて紹介していきたいと思います。



タンナー・山陽のクロム鞣し
脱毛・石灰漬けされた革を鞣し用のタイコに投入していきます。(脱毛までの工程はこちらからお読みいただけます)
タンナー・山陽では写真のような、直径4メートル、幅4メートルもある巨大なタイコ(またはドラム)と呼ばれる設備で鞣し工程を行っています。





投入された皮は、脱灰の工程で石灰漬けの際に浸透した石灰を取り除き、浸酸の工程でphを調節しクロム鞣剤(じゅうざい)で鞣していきます。

※人体にも含まれている3価クロムを使用しているため、有害な6価クロムが使われることはありません。


タイコにクロム鞣剤を入れ、約12時間 回転させ攪拌します。タイコの仕組みはドラム式洗濯機をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
タンナー・山陽には、このような大きなタイコが4個あり、最大同時に500枚(15トン以上)の皮を鞣すことができます。

鞣し終わった革を取り出すと、このように薄いブルーの色をしています。クロム鞣剤で鞣された革はクロムの深い緑色によって青色に染まるため、「ウェットブルー」と呼ばれています。


この後の工程は、革に含まれている水分を絞り、半裁(背筋に沿って半分に切ること)にします。そして、厚みを調節され染色工程へと進んでいきます。染色についてはまたいつかお話しさせていただこうと思います。


いかがでしたでしょうか。このようにクロム鞣しは約1日で終わり、ピット鞣しと比べてとても効率的に革をつくることができます。そして、出来上がった革の耐熱温度は100℃を超え、弾力性のある柔らかく滑らかな革になります。
TAANNERR第2弾プロダクト〈美しさを守れる安心の防水革〉では今回お話ししたクロム鞣しでつくられた革を使用しています。
柔らかくしなやかなクロム鞣し革だから、防水革 ショルダーポーチ 防水革 フラップリュックのように丸みのある立体的なデザインをつくることができます。

コラムの中でクロム鞣しとタンニン鞣しについてお話しさせていただきましたが、どちらの鞣し方もそれぞれ優れた点があり、用途やデザインによって使い分けられています。「すべての革が、生きている。」というコンセプトを持ったTAANNERRでは、クロム鞣しとタンニン鞣し、どちらの良さも生かしたものづくりをこれからも続けていきたいと考えています。

それではまた、次回の投稿で。



※タンナー山陽は食肉の副産物の原皮だけを材料に、LWG(Leather Working Group)認証を基に生産した、持続可能な天然皮革を使用しています。LWG(Leather Woking Group)について  Thinking Leather Action~実は、革ってサステナブル。~ 

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