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タンナー発レザーアイテムブランドだから語れる ~タンニン鞣しとは(前編)~

みなさんこんにちは。今回は『タンナー発レザーアイテムブランドだから語れる』シリーズです。
以前~鞣しとは~のコラムの中で、「タンニン鞣し」「クロム鞣し」について説明させていただきました。まだ読まれていない方はぜひこちらからお読みください。
今回は、TAANNERR 第1弾プロダクト〈美しく堅牢な最高級ピットヌメ革〉の鞣し技法「タンニン鞣し」について深堀りしてお話しさせていただきます。


タンニンとは
まず、タンニンとは一体何か、についてお話しさせていただきます。
タンニンはポリフェノールの一種で茶葉、柿、ブドウ、ミモザ、チェストナットなど、さまざまな植物に含まれており、口に入れると強い渋みを感じる作用があります。
タンニンという名称は「革を鞣す」という意味の英語である "tan" に由来し、本来の意味としては製革に用いる鞣革性を持つ物質のことを指す言葉であると言われています。余談ですが、当社に大正時代から残っている資料にはタンニンのことを漢字で『単寧』と記載されていました。

このタンニンに含まれる渋みが、皮を鞣す上でとても重要な役割を担っているのです。
渋みは、口の中に入ったタンニンが舌や粘膜などのたんぱく質と結合し変性することで感じる、痛みに近い感覚と言われています。
この、たんぱく質と結合して変性する作用を「収斂(しゅうれん)作用」と呼び、これが皮を革に変性させていると言われています。


タンニンの種類
自然界にはタンニンを含んだ植物が多数あると説明させていただきましたが、実は「鞣剤(なめしざい)」として使用されているタンニン剤は数が限られています。
①ワットル(ミモザ)
アカシア属の樹皮をワットル・バークと呼び、抽出してエキス状にしたものをミモザエキスと言います。日本では両者を区別せずミモザあるいはワットルと呼ばれています。樹皮から抽出されたエキスは平均35.0%の高いタンニン含有量がある点が特徴です。また、生育が早く、計画植林栽培にも適しています。現在では、南アフリカ、ブラジルで生産されています。殆どの植物タンニン鞣しに適した材料で良質な触感の良い革が得られます。

②ケブラチョ
ケブラコとも呼ばれ、南アメリカに分布しているケブラチョの木から抽出されます。ワットルと異なりタンニン分は樹皮部に少なく、主に幹の中心部に含まれており、含有量は30~35%です。色は暗褐黒色をしています。

③チェストナット
ブナ科の栗族にに属し、ヨーロッパ及び北米で自然林として、また植林として数多く自生している。鞣剤として使用されている樹木は2種類程度ですが、日本に生育している栗材からのタンニンエキスも鞣剤としての価値は十分に備えています。

④ミラボラン
ミラボラムとも呼ばれる。インド・スリランカに分布するテルミナリア・チェブラ(ミロバランもしくはミラボラム)の木の実(くるみ状)を乾燥させたもので、粉砕またはエキスの形で鞣剤として使用する。粉砕したもののタンニン分は30~35%、多いもので45~52%です。
ミロバランで鞣した革は、柔軟で淡い色の革が得られるのが特徴です。
ただし、しまりや堅さに欠けた特徴も持つので、ケブラチョやミモザと混合して利用される事が多いです。

タンナー・山陽では試行錯誤の結果、姫路の水質や気温などと相性の良かったミモザをベースに調合されているタンニンを使用しています。


タンニン鞣しの仕組み
ここまでタンニンの特性や種類についてお話しさせていただきました。では、タンニン鞣しとはいったいどのような仕組みなのでしょうか。

鞣されていない皮は微生物の働きによって分解、腐敗していくので、それを食い止めるために皮の内部にタンニンを浸透させて鞣す必要があります。
皮は下図左のように緻密な繊維構造で成り立っているので、この隙間にピット槽やドラムなどの手法を用いてタンニンを充填させます。(下図右)
このように繊維の隙間に充填されたタンニンはたんぱく質と結合、収斂作用を起こし、皮を革へと変化させていきます。
これがタンニン鞣しの原理になります。
下図右のようにタンニンが充填され繊維が密になることで、ヌメ革の特徴である堅牢さが現れています。


TAANNERR 第1弾プロダクト〈美しく堅牢な最高級ピットヌメ革〉について
TAANNERRの第1弾プロダクトには、今回のコラムでお話しさせていただいたタンニン鞣しの製法でつくられた「ヌメ革」が採用されています。
TAANNERR 第1弾プロダクト〈美しく堅牢な最高級ピットヌメ革〉には「もっと長く、美しく、愛したい。」という想いが込められています。
革らしく経年変化(エイジング)していく様子を楽しめるヌメ革だからこそ、何年も何十年も使っていただけるよう内装にも革を使用し、すべての工程を国内の素晴らしい技術を持った職人に依頼しています。本革の美しさと熟練の職人の技術を合わせて、使い始めも、10年後も、その時々の美しさを愛してもらえるようなプロダクトとなっています。
taannerr ピットヌメ革 ビジネスバッグ 

いかがでしたでしょうか。今回はタンニン鞣しについてお話しさせていただきました。
次回はタンナー・山陽での実際の作業風景を交えてお話しできればと思います。
それではまた、次回の投稿で。

※タンナー山陽は食肉の副産物の原皮だけを材料に、LWG(Leather Working Group)認証を基に生産した、持続可能な天然皮革を使用しています。 
LWG(Leather Woking Group)について 
Thinking Leather Action~実は、革ってサステナブル。~ 
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参考文献:日本皮革技術協会 『新版 皮革科学』      
JLIA 一般社団法人 日本皮革産業連合 『皮革用語辞典